離婚調停申立ての際の陳述書の書き方
離婚調停を始める前に重要なのが、「陳述書」を書くことです。
これは調停員に「どうして離婚をしたいのか」経緯を伝える書類になります。
しかし裁判所ホームページを見渡しても、陳述書の書き方は載っていません。
では陳述書は、どのように書くと効果的なのでしょうか。
この記事の目次
なぜ陳述書が必要なのか
離婚調停を申し立てるときに必要な書類は離婚調停申立書と付属書類(戸籍謄本)だけ。
申立てに際し、陳述書は必須書類ではありません。
しかし、調停を申し立てる際には必ず陳述書も一緒に提出しましょう。
これはなぜかというと、調停員に自分がなぜ離婚したいかを、事前にアピールするためです。
従来は、離婚調停申立書に「申し立ての実情」という欄があり、離婚に至る経緯を書くことができました。
しかし、現在の申立書ではこの欄が廃止されてしまったため、自分で陳述書を書かない限り詳細な離婚理由が事前に調停員に伝わらないのです。
これを読んでいる方の中には「実際の調停の場で話せばいいのでは?」と思われる方もいるでしょう。
しかし、1回の調停で自分が話せる時間は1時間ほど。
1時間のうちには調停員から質疑を受ける時間も含んでいますので、自分が発言できる時間はもっと少ないのです。
そのため、いかに調停を有利に進めるかは、陳述書の充実度にかかっているといっても過言ではありません。
陳述書に書くべきこととは
早速本題に入っていきましょう。
陳述書に書くべきことは、以下の6項目です。
もっとも、全て書かなければいけないというわけではなく、適宜省略しつつ、自分が重要だと思うところを埋めていってください。
①プロフィール
・生年月日
・学歴
・職歴
・婚姻歴
・家族構成
・現在の職業、雇用形態(正社員、アルバイト、パート)
・収入
財産分与や親権について考える際の考慮要素になります。
②結婚にいたるまでの経緯
・付き合ったきっかけ
・結婚までの期間
「借金をすべて返済したら結婚するという約束で結婚したが、実は借金が残っていた」など、離婚原因に結びつく場合には記載が必要でしょう。
そうでなければあっさりと触れるか、省略しても大丈夫です。
③子どもについて
・生年月日(年齢)
・学校の名前
・別居の場合は、どちらと暮らしているか
・心身の状態
親権を判断する際に重要な項目です。
④離婚に至る経緯
・離婚を決意したきっかけは何か
・何か事件(不倫、借金等)があったか
陳述書を書く上でもっとも重要な部分です。
時系列に沿ってできごとを書いていきましょう。
日時がわかる場合にはそれも書いておくと、信用性が増します。
⑤その後の状況
・別居の有無
・協議の有無とその状況
協議の状況も離婚の重要な判断材料です。
⑥自分の意見
・離婚の意思はどのくらい固いのか
・慰謝料は請求するか、いくらするのか
・財産分与はいくら求めるのか
・養育費はいくら求めるのか
離婚調停を通じ、最終的に自分がどうしたいのか書く部分です。
調停委員はこの部分を見て争点を決めますので、意見をはっきり書いてください。
陳述書を書くときの3つのポイント
陳述書を書くときには、以下の3つのポイントに気をつけましょう。
①悪口を書かない
自分の心情や意見はどんどん書くべきですが、相手の悪口を書くのはやめてください。
調停員の心証がかえって悪くなってしまうからです。
例えば、以下のような記述を見てください。
(例)夫が浮気相手と手を切っていなかったことが発覚した
良い例「○月×日に、夫が浮気相手とホテルに入っていきました。2度にわたる浮気により、私は非常に傷つき、離婚を決意しました」
悪い例「夫とあの女がホテルに入っていくのを見て、二人とも死ねばいいと思いました。一緒に暮らすのも気持ち悪いので、早く離婚したいです。」
後者の例ですと、どうしても「感情的な人なんだな」というイメージがぬぐえません。
一度このような印象を持たれると、調停のときに同調されにくくなります。
気持ちはわかりますが、暴力的な表現はやめましょう。
➁客観的な事実を書く
陳述書には客観的な事実を多く書くと良いです。
例えば、日付や場所、第三者の名前など、具体的な名称が入っているとベストですね。
客観的な事実が多い方が、信用性が高くなるからです。
③A4用紙3~5枚でまとめる
「陳述書を詳しく書くべき」というと、ものすごい枚数の陳述書を仕上げる人がいます。
しかしこれは逆効果です。
なぜならば、何を伝えたいのか、要旨が不明瞭になってしまうからです。
陳述書をまとめるときは、A4サイズの用紙に3~5枚でまとめるのが効果的。
特に、離婚に至る経緯と自分の意見はしっかりと書いてください。
まとめ―陳述書の提出も忘れずに
陳述書は離婚申立ての必須書類ではないため、出さない人も多いです。
特に弁護士をつけていないと、その存在すら知らない場合があります。
しかし、陳述書は調停員に意見を伝える数少ないチャンスです。
最低限、離婚に至った経緯だけでも陳述書として提出しましょう。